Raspberry Piの主力モデルが再度値上げ—メモリコストが背景に
2026年10月2日、Raspberry Piは、主力製品である2GBのRaspberry Pi 4およびPi 5の価格をそれぞれ12.50ドル引き上げると発表しました。この値上げにより、2GBのPi 4は67.50ドル、Pi 5は77.50ドルとなります(The Register)。
以前は35ドルで提供されていた2GBのPi 4が、パンデミック中に45ドルに「一時的に」引き上げられて以来、さらに価格が上昇しています。今回の値上げの背景には、急速に高騰しているメモリのコストがあるとされています。
かつて35ドルだった2GBのRaspberry Pi 4は、複数回の値上げを経て67.50ドルとなり、元の価格の約2倍近くに達しています。
Raspberry Piは、2025年上半期に売上が90%増の2億5690万ドル、粗利益も79%増の5940万ドルを記録したと報告しています。基板あたりの粗利益は53%増の12.20ドルとなっており、これは価格改定と2025年に低価格で仕入れたメモリ在庫が寄与したとのことです。しかし、その在庫も大部分が枯渇したと述べています(The Register)。
過去の値上げと製品ラインナップへの影響
Raspberry Pi製品の値上げは、今回の発表が初めてではありません。2026年4月にも、Pi 4およびPi 5の多くのモデルで大幅な価格上昇がありました(The Register)。
例えば、2025年1月の発売時には120ドルだった16GBのPi 5は、現在PiShopで305ドルという高値で取引されています。今回の値上げでは、1GBのPi 4とPi 5、そして2GBのCompute Module 4と5の価格は据え置かれています。
| モデル | 旧価格(ドル) | 新価格(ドル) | 値上げ額(ドル) |
|---|---|---|---|
| 2GB Raspberry Pi 4 | 55.00 | 67.50 | +12.50 |
| 2GB Raspberry Pi 5 | 65.00 | 77.50 | +12.50 |
今回の値上げの直前には、愛好家やベンダーの間で、ボードに半田付けされたメモリをアップグレードする方法が検討されていました。しかし、Raspberry Piのエンジニアであるフィル・エルウェル氏が、新しいファームウェアがデバイスを元のRAM容量にロックすると公式フォーラムで述べており、メモリのアップグレードは困難な状況です(The Register)。
メモリ不足の長期化と代替策
Raspberry Piの最高責任者であるエベン・アプトン氏は、「メモリの価格はいずれ下がるだろうし、そうなれば我々も値上げを撤回することを楽しみにしている」とコメントしています(The Register)。しかし、顧客はしばらく待つことになるかもしれません。
MicronのCEOであるサンジェイ・メーロトラ氏は、RAM不足が2028年まで、場合によってはそれ以降も続くと警告しており、需給バランスがいつ回復するかは見通せない状況です。
この状況に対し、Raspberry Piは、価格が上がった製品に直面している顧客に対して、プロジェクトに必要なRAM量を再確認し、Pi 3B、3A+、3B+のような古いモデルの検討を推奨しています(The Register)。古いモデルは性能面で最新版には劣りますが、比較的安価で入手可能です(Tom's Hardware)。
エンジニア目線で見ると:プロジェクトの見直しと代替ボードの検討が急務
今回のRaspberry Piの値上げは、個人でIoTプロジェクトを開発しているエンジニアや、スタートアップで組み込みシステムを構築している開発者にとって、かなり厳しいニュースだと感じます。特に2GBモデルの価格が67.50ドル、77.50ドルにまで上昇すると、もはや「手軽な低価格ボード」という感覚ではなくなってくるのではないでしょうか。私が普段開発しているローカルLLMやStable Diffusion系の個人プロダクトでは、メモリ容量が重要なのでPiシリーズを使うことはありませんが、GCPのCloud RunやBigQueryを使ったプロジェクトでセンサーデータの収集などを行う際、エッジデバイスとしてRaspberry Piのような手軽なボードを選択肢に入れることがありました。
しかし、この価格帯であれば、シングルボードコンピュータ市場の競合製品や、より高性能な小型PCとの比較検討が必須になるでしょう。Orange PiやJetson Nanoなど、代替となるボードも選択肢として視野に入れるべきだと考えます。また、既存プロジェクトでPiを使っている場合は、本当に2GBのメモリが必要か、プロジェクトの要件を厳しく見直す良い機会かもしれません。
Pi 3B+などの旧モデルで対応できないか、あるいはそもそもRaspberry Piでなければならないか、再評価を推奨します。長期的なメモリ不足の警告も出ている中で、今後のサプライチェーンの動向にも注視する必要がありそうです。