OpenAI、Appleの「営業秘密窃盗」を真っ向から否定—引き抜きは正当な競争
昨日、2026年9月1日にOpenAIは米連邦裁判所に対し、Appleが主張する営業秘密窃盗の訴えについて全面的に否定する書類を提出しました。Reutersによると、OpenAIはAppleが元従業員によっていかなる機密情報も実際に盗まれたことを証明できていないと主張しています。これは、Appleが7月にOpenAIを提訴して以来、続く法的攻防の一幕です。
OpenAIは、今回の紛争が「Apple自身のずさんな企業慣行に起因する混乱」であると主張しています。
Appleは、元従業員のChang Liu氏とTang Tan氏がハードウェア設計、製造、サプライチェーンに関する営業秘密を盗んだとして訴えています。これに対し、OpenAIは、訴訟がライバル企業の動きを遅らせ、従業員の流出を阻止するための試みであると反論。
OpenAIはこれまで、約400人の元Apple従業員をハードウェアプロジェクトに雇用してきたと述べています(出典)。カリフォルニア州法では、従業員が競合他社間を自由に移動できることを根拠に、Appleの訴えは不当であると主張している形です。
ずさんな退職プロセスが問題の根源か—OpenAIが指摘するAppleの内部慣行
OpenAIは、Appleの内部慣行が今回の問題を引き起こしたと指摘しています。具体的には、以下の点が挙げられています。
- 個人iCloudアカウントの業務利用の推奨: 従業員が退職する際、個人データと企業データの境界が曖昧になる可能性があります。
- 退職時の時間不足: 退職する従業員を直ちにオフィスから退去させる慣行により、デバイスや社内ファイルを返却する時間が不十分になる場合があります。
OpenAIは、これらの慣行が意図的な窃盗ではなく、Appleの不完全なオフボーディングプロセスに起因する結果であると主張しています。Liu氏は、元同僚がファイルを見つけたり質問に答えたりするのを助けるためにAppleの文書へのアクセスを保持していただけであり、Appleの従業員が繰り返しサポートを求めていたとされています。Tan氏は、退職前にAppleのプロトタイプを返却し、非機密資料のみを保持していたと述べています。
正直なところ、この主張は非常に説得力があると感じます。私自身の経験から見ても、従業員の退職プロセスは企業にとって非常に重要で、ずさんな運用はこのような問題に繋がりかねません。特にスタートアップでは、少ないリソースで多くの情報を扱いますから、オンボーディングもオフボーディングもかなり慎重に進めるべきだと改めて感じますね。
人材流出の背景:AI分野でのAppleの遅れが原因か?
OpenAIは、今回の紛争を「従業員が、AI採用に遅れていると見なされる企業を去り、より動きの速い競合他社を選んだ結果」と見ています。そして、Appleが自らの内部的な失敗を、これらの退職を不法なものとして描写するために利用すべきではないと強く主張しています。
裁判は10月1日にEdward J. Davila裁判官によって審理される予定です。AppleInsiderの報道によると、AppleはChang Liu氏の業務PCのフォレンジック検査から「衝撃的な証拠」を発見し、OpenAIが証拠を破壊している可能性を示唆しているとも報じられており(出典)、この訴訟はさらに複雑な展開を見せるかもしれません。AI分野におけるAppleの戦略が問われている状況とも言えるでしょう。
| 争点 | Appleの主張 | OpenAIの反論 |
|---|---|---|
| 営業秘密窃盗 | 元従業員2名がハードウェア設計などの機密情報を盗んだ | 機密情報の盗難を示す証拠がない |
| 退職者の行動 | 元従業員による不法な持ち出し、証拠隠滅の可能性 | 元従業員は適正に情報を取り扱った、連絡はApple側から |
| 紛争の原因 | 元従業員とOpenAIによる意図的な違法行為 | Apple自身のずさんな退職プロセスとデータ管理、AI分野での遅れ |
| 人材流動 | 競合への不当な引き抜き、証拠破壊の可能性 | 従業員の自由な移動はカリフォルニア州法で認められている |
AI開発が加速する中、優秀な人材の獲得競争は激化の一途を辿っています。特に、個人プロジェクトでローカルLLMを動かしている身としては、最先端技術に触れる機会の多いOpenAIのような企業に惹かれる気持ちも理解できます。この訴訟は、単なる営業秘密の問題に留まらず、変化の激しいテクノロジー業界における人材戦略や企業文化のあり方についても一石を投じているのではないでしょうか。