M5 UltraチップがAI・グラフィック性能を大幅強化

Appleが今回発表した新型Mac Studioの核となるのは、M5 MaxおよびM5 Ultraチップです。特に最上位のM5 Ultraは、同社史上最もパワフルなチップと位置づけられています(出典)。

特徴 M3 Ultra (前世代) M5 Ultra (新型)
CPUコア数 最大24コア 最大36コア(スーパーコア12、パフォーマンスコア24)
シングルスレッド性能 1.0倍 最大1.25倍向上
マルチスレッド性能 1.0倍 最大1.3倍向上
GPUコア数 最大76コア 最大80コア
AIタスク向けGPUピークコンピュート 1.0倍 最大4.5倍向上(M1 Ultra比では6倍超)
グラフィック性能 1.0倍 最大40%高速化
ユニファイドメモリ 最大192GB 最大512GB
メモリ帯域幅 最大800GB/s 最大1.2TB/s(50%向上)

M5 Ultraは、AIタスクにおいてM3 Ultraの最大4.5倍、M1 Ultraの6倍以上のピークGPUコンピュート性能を発揮し、オンデバイスLLM実行に新たな可能性を開きます。

M5 Ultraは、2つのM5 MaxチップをApple独自の次世代UltraFusionテクノロジーで接続することで実現されており、ダイ間の帯域幅は4.4TB/sを超え、接続密度は6倍以上向上しています。これにより、4つのダイが単一のプロセッサとして機能し、最大512GBのユニファイドメモリと最大1.2TB/sのメモリ帯域幅をサポートします。メモリと帯域幅の増加は、大規模なデータセットのローカル保存、LLMのトークン/秒の向上、数百億パラメータを持つLLMのオンデバイス実行を可能にするとAppleは説明しています。

これは、ローカルLLMを試している私にとって非常に魅力的なポイントです。RTX 3090を搭載した自作PCでもLLMを動かしていますが、この性能は間違いなく試してみたいですね。

超高速なインターフェースとネットワークを搭載

新型Mac Studioは、内部および外部接続においても大幅な進化を遂げています。

  • SSDアーキテクチャ: PCIe Gen 6に基づいた次世代SSDアーキテクチャを採用し、前世代と比較して最大2倍の速度を実現しています。
  • Thunderbolt 5ポート: 最大120Gb/sの帯域幅を持つThunderbolt 5ポートを初搭載。これにより、外部ストレージやディスプレイへのデータ転送速度が飛躍的に向上します。
  • Wi-Fi 7 / Bluetooth 6: AppleのN1チップを介して、初めてWi-Fi 7とBluetooth 6に対応。より高速で安定したワイヤレス接続が可能になります。
  • ディスプレイサポート: M5 Maxモデルでは最大5台、M5 Ultraモデルでは最大8台のディスプレイ出力に対応。Genlock over USB-Cもサポートし、プロフェッショナルな映像制作環境にも対応します(出典)。

Thunderbolt 5の採用は、大量のデータを取り扱うAI開発者やクリエイターにとって、作業効率を劇的に向上させる重要な要素です。

Thunderbolt 5は、これまで遅延が課題となっていた高速データ転送において大きなブレイクスルーとなるでしょう。特にGPUを外部に接続して利用するようなケースや、大容量のデータセットを扱う際に威力を発揮すると感じます。自宅の自作PCでも高速なSSDとGPUを組み合わせていますが、ワークロードによっては外部インターフェースのボトルネックを感じることがあったので、この進化は個人的にも注目しています。

M5 MaxモデルもAI性能を強化、複数システム連携でさらに高速化

新型Mac Studioは、M5 Ultraだけでなく、M5 Maxチップ搭載モデルもラインナップされています。M5 Maxは、18コアCPU(スーパーコア6、パフォーマンスコア12)、最大40コアGPU、最大128GBのユニファイドメモリ、最大614GB/sのメモリ帯域幅、最大8TBのストレージをサポートします。Appleによると、M5 MaxもAI性能において前世代比で最大3.9倍の高速化を実現しているとのことです(出典)。

さらに、新型Mac StudioはThunderbolt 5とRDMA(Remote Direct Memory Access)を内蔵サポートしており、複数のMac Studioシステムをクラスター化して連携させることが可能です。これにより、システム間で共有メモリプールを作成し、AI推論タスクにおいて単一システムの最大3倍の速度を実現できるとAppleは述べています。これは、大規模なAIモデルの学習や推論を行う上で、非常にコスト効率の良いスケーリング手段になるのではないでしょうか。

複数台のMac Studioをクラスター化することで、大規模なAI推論タスクを単一システムの3倍の速さで実行できる可能性は、オンプレミスでのAI開発に新たな選択肢をもたらします。

個人開発者がローカル環境でLLMを動かす際、複数台のMac Studioを連携させるという選択肢は非常に魅力的です。GCPのGPUインスタンスを使うよりも、トータルコストで有利になるケースも出てくるかもしれません。特にメモリ容量が大きく、LLMのパラメータ数を多くロードできる点は、今後のAI開発において非常に重要だと感じます。

価格とリリース日

新型Mac Studioはすでに予約注文が開始されており、2026年9月22日にリリースされます。ただし、512GBユニファイドメモリを搭載したモデルは10月下旬の発売予定です(出典)。価格については、M5 Ultra搭載のハイエンドモデルが18,299ドルに達する可能性も示唆されており、全構成オプションが利用可能になれば20,000ドルを超えることも予想されています(出典)。

為替レートの変動も考慮すると、日本での価格はさらに高くなる可能性もありそうです。かなり高価なデバイスではありますが、その性能は価格に見合うものだと感じます。