App Store手数料交渉、最高裁判断を待たずに進行へ

2026年8月11日(現地時間)、米カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所は、AppleがEpic Gamesとの間で係争中のApp Store手数料に関する訴訟手続きの一時停止(ステイ)申請を却下しました(出典)。Appleは、今年10月に始まる会期で最高裁が本件を審理する予定であるため、それまで手続きを中断することを求めていましたが、この要求は認められませんでした。

Appleは、最高裁の判断を待たずに、代替支払いオプションに関する手数料体系案を提出しなければならなくなりました。

これによりAppleは、裁判所に対し、代替支払いオプションを利用する開発者から徴収する手数料の概要を24時間以内に提示する必要があります。Epic Gamesはその後、Appleの手数料提案について法的な分析を行い、最終的に裁判所が妥当な手数料を決定することになります。

長期化するEpic GamesとAppleの係争の経緯

この手数料に関する争いは、Epic Gamesが2020年にAppleを提訴したことに端を発する、長期にわたる紛争です。当初の訴訟ではAppleが大部分で勝訴しましたが、開発者がApp Store以外の購入オプションへのリンクを設置することを許可するよう、「アンチステアリング(誘導制限)ルール」の変更を命じられました(出典)。

Appleはこれに応じましたが、その際に12〜27%の手数料を課したため、このオプションを利用する開発者はほとんどいませんでした。Epic Gamesは、この手数料が裁判所の命令に違反すると主張し、イボンヌ・ゴンザレス・ロジャース米地区判事もこれに同意。2025年4月には、Appleが裁判所の命令に故意に違反したとして、「法廷侮辱罪」に当たると認定しました(出典)。

裁判所の判断後、Appleは米国のApp Storeにおいて、リンクからの手数料徴収を停止しています。以下の表は、これまでの主要な経緯をまとめたものです。

項目 内容
2020年 Epic GamesがAppleを提訴。
22021年9月 Appleがアンチステアリングルール変更を命じられる。
2025年4月 Appleが手数料12〜27%を課し、法廷侮辱罪と認定される。米国内でのリンクアウト手数料徴収を停止。
2026年8月 控訴裁判所が侮辱罪判決を支持。Appleは最高裁に上告。最高裁、審理を決定するも、下級審の一時停止申請を却下。

この経緯を見ると、Appleは非常に厳しい状況に追い込まれていると感じます。特に、控訴裁判所が法廷侮辱罪の判決を支持し、合理的な手数料徴収の権利は認めたものの、その金額を改めて地区裁判所で決定するよう差し戻した点が、Appleにとって不利に働いているのではないでしょうか。

世界が注目する手数料設定の行方

Appleは最高裁に対し、この件の結果は世界中の規制当局が注視していると述べており、今回設定される手数料は米国だけでなく、国際的なApp Storeのルールにも大きな影響を与える可能性があります。実際、Appleは24時間の猶予の後、App Store外での購入に対して最大15%の手数料を提案したと報じられています(出典)。

この訴訟は、開発者エコシステムとプラットフォームプロバイダーの関係性を再定義する、重要な試金石となるでしょう。私自身の個人プロダクト開発でもApp Storeでの収益化を検討することがありますが、今回の決定が今後のビジネスモデルに与える影響は大きいと感じています。特に、代替支払い方法を導入した場合のコスト構造は、今後より慎重に検討する必要がありそうです。

App Storeの動向は、単なる手数料の話に留まらず、独占的プラットフォームのあり方そのものを問うものだと捉えています。公正な競争環境が確保されることは、最終的に開発者だけでなく、ユーザーにとってもメリットがあるはずです。