EUバッテリー規制、ウェアラブル製品に例外措置を導入
欧州委員会は2026年7月14日(現地時間)、バッテリー規制「Batteries Regulation」における免除リストを拡大し、新たに6つの製品カテゴリーを追加しました。この改正により、スマートウォッチやフィットネストラッカーといったウェアラブルデバイスは、ユーザーがバッテリーを取り外し・交換できる必要がなくなります。これは、当初の規制が意図した「消費者製品はユーザーがバッテリーを交換可能であるべき」という原則からの重要な変更点と言えるでしょう(出典)。
今回の変更は、Apple WatchやAirPodsのような小型で密閉されたデザインのデバイスが、今後のEUバッテリー規制の要件を満たしやすくなることを意味します。
なぜウェアラブルが免除されたのか?その理由
今回の免除措置の主な理由は、電動歯ブラシなどが既に免除されているケースと共通しています。MacRumors の記事によると、小型で密閉された筐体を開封し、適切に再密閉できない場合、水の侵入による安全上のリスクが生じる可能性が挙げられています。また、製品の構造上、バッテリーの取り外しが本質的に危険である場合や、現在の製造方法ではユーザーアクセスを組み込む現実的な方法がない場合も、免除の対象となり得るとのことです(出典)。
これは、特に防水性能が求められるウェアラブルデバイスにとっては重要な点です。私も個人プロダクトで防水機能を検討することがありますが、密閉性を確保しつつユーザーが内部にアクセスできる構造にするのは非常に困難だと感じます。今回の緩和は、メーカーの設計自由度を高め、消費者の安全性を確保するための現実的な判断ではないでしょうか。
既存の規制と今回の変更点
既存のEUバッテリー規制と今回の変更点をまとめると、以下のようになります。
| 項目 | 旧規制(概ね) | 今回の変更 |
|---|---|---|
| 対象製品 | 消費者向け製品全般 | ウェアラブルデバイスなどを追加免除 |
| バッテリー交換 | ユーザーによる交換が原則義務 | ウェアラブルは専門家による交換も許容 |
| 免除理由 | バッテリー寿命と防水性(iPhoneなど) | 小型化による安全リスク、製造上の困難さ |
| 具体例 | iPhoneは免除済み | Apple Watch, AirPods, Metaのスマートグラスなどが該当 |
Nintendo Switch 2 のように、EU向けにユーザー交換可能なバッテリーを搭載したモデルを販売すると表明している企業もあります。このように、全てのデバイスが一律に免除されるわけではなく、デバイスの特性によって対応が分かれる点には注目が必要です。
背景と今後の影響
今回の変更は、Meta のスマートグラスが欧州市場への投入計画を複雑にしていたとされる、米国当局からの数ヶ月にわたる圧力の結果であるとも報じられています(出典)。政治的な駆け引きも影響している可能性があり、技術的な側面だけでなく、国際的な貿易摩擦やロビー活動が規制に影響を与える事例として興味深く感じます。
The Register の記事(出典)によると、バッテリー自体は引き続き交換可能である必要がありますが、エンドユーザーではなく独立した専門家によって交換されることが許容されるとのことです。これにより、製品の長寿命化という大目標は維持しつつ、安全面や設計の制約を考慮したバランスの取れた形になったと言えるでしょう。
今回の委任法は、欧州議会とEU理事会の審査を通過する必要がありますが、いずれの機関も異議を唱えなければ、EU官報に掲載されてから20日後に発効する予定です。規制全体の本格的な施行は2027年とされており、それまでの期間で詳細なガイドラインが整備されていくものと思われます。