Appleが主張する「組織的な不正行為」の実態

Appleが提出した41ページにわたる訴状は、OpenAIが単なる「暴走した従業員」の行為ではなく、組織的な文化として営業秘密の不正取得を奨励していた可能性を示唆しています。訴状では、OpenAIの行為を「リーダーシップによって常態化され、実践されている」(出典)と厳しく批判しており、不正行為がOpenAIの「核心まで腐敗している」(出典)とまで表現しています。

Appleは「OpenAIの未熟なハードウェア事業は、不正に入手された営業秘密への違法な依存によって核心まで腐敗し、極めて不安定な基盤の上に成り立っている」と訴状で述べています。(出典)

これは、単なる情報流出に留まらず、OpenAIが将来的にiPhoneに対抗するハードウェアデバイスの開発を進めているとされる中(出典)、その開発基盤自体がAppleの機密情報に依存していると強く示唆するものです。個人開発者として、もし自分のプロダクトがこのような形で不正に利用されたとすれば、非常に憤りを感じるだろうなと思います。

驚くべき証拠:「LOL, I found out I can access the [network storage], so funny」

訴状には、不正アクセスをまるでジョークのように語るメッセージも含まれています。元Appleのシニアシステム電気エンジニアで、後にOpenAIに加わったChang Liu氏が、Appleのネットワークストレージにアクセスできたことを示すメッセージを、元Apple従業員のYu-Ting “Alyssa” Peng氏に送信したとされています。

項目 詳細
メッセージ内容 「LOL, I found out I can access the [network storage], so funny。」(出典)
送信者 Chang Liu氏(元Apple、後にOpenAIへ移籍)
受信者 Yu-Ting “Alyssa” Peng氏(元Apple、後にOpenAIへ移籍)
アクセス方法 Peng氏のApple支給PCを使い、認証バグを悪用(出典)
Peng氏の返信 「I’m ready。」(出典)

さらに、Liu氏はApple退社から数時間以内に「まだ別のコンピューターを持っている」(出典)とメッセージを送っていたことも判明しており、組織的な関与を強く裏付けるものです。正直、ここまで露骨な証拠が出てくるとは思わず、かなり衝撃的なニュースだと感じます。

面接での「持ち込み指示」と退社時の手口

Appleの訴状では、OpenAIが採用面接の段階から、候補者に対しAppleの機密情報を持参するよう指示していたという衝撃的な主張もなされています。OpenAIのハードウェア担当最高責任者であるTang Yew Tan氏(元AppleのiPhoneおよびApple Watch製品デザイン担当副社長)が、Appleで働く転職候補者に対し、「実際の部品」(出典)や「CAD/設計成果物、プロトタイプ」(出典)をOpenAIの面接に持参するよう指示したとされています。ある候補者は、Appleの部品がオフィスから持ち出せることにすら驚いたとAppleは主張しています。

「Discovery(証拠開示手続き)は、不正取得が下記に記述された数倍の規模で発生していたことを明らかにするでしょう。」(出典)

また、Appleは、OpenAIがAppleを退職する従業員に対して、営業秘密の窃盗が発覚するリスクを減らすために、Appleのセキュリティ手順を回避する方法を指導していたと主張しています。具体的には、OpenAIが「Need to know」という指定のあるAppleの内部文書を新規採用者に回覧し、Appleを退職する際にセキュリティチェックを回避する方法を詳細に説明していたとされています(出典)。これは、退職者が通常通り2週間働く間に機密情報にアクセスする時間を稼ぐため、即時退職(「dreaded walkout」)を避けるための手口だったとされます。

訴訟がOpenAIのハードウェア戦略に与える影響

Appleの訴訟は、OpenAIが計画しているiPhone対抗のハードウェア事業に大きな打撃を与える可能性があります。MacRumorsの報道(出典)によれば、訴訟はすでにOpenAIのハードウェア計画を狂わせ始めているとのことです。訴状では、Jony Ive氏の会社「io Products」も「共謀者」(出典)として言及されており、OpenAIのハードウェア開発がAppleの元デザインチーフと連携している可能性も示唆されています。

今回の訴訟は、AI技術が急速に進展する中で、企業の競争がいかに激化しているかを如実に示していると感じます。特に、営業秘密の保護とオープンイノベーションのバランスは、今後も重要な課題となるのではないでしょうか。もしOpenAIのハードウェアがAppleの技術をベースにしているとすれば、それはクラウド基盤(GCP, AWS, Azure)でベンダーロックインを回避しながら開発を進める私のようなエンジニアにとっては、ハードウェア分野でも同じようなリスクが存在することを示すように感じられます。