PC出荷、9四半期ぶりに前年割れ——原因はメモリ不足

IDCによると、2026年第2四半期の世界PC出荷台数は6820万台で前年比5%減となり、9四半期連続の成長がここで途切れました。IDCのコンシューマーデバイス担当リサーチディレクター、Jitesh Ubrani氏は次のように分析しています。

「本当の注目点は台数と金額の乖離だ。出荷台数は減っているのに、ベンダーが値上げを需要減より速いペースで進めているため売上高は伸びている」(Ubrani氏)

ストレージ価格や地政学的要因も市場の重荷になっているとされ、単純なメモリ不足だけが原因ではない点も指摘されています(出典)。

台湾TrendForceはDRAM価格「50%超の値上がり」を予測

IDCの発表に加え、台湾の市場調査会社TrendForceは、DRAM価格が今年さらに50%以上値上がりする見通しを示しています。Micronなどのメーカーはメモリ生産量を増やしているものの、本格的な増産効果が出るのは2027〜2028年になる見込みだといいます。IDCもメモリ不足の緩和は2028年初頭までかからないとの見方を示しました(出典)。

項目 内容
Q2 2026 PC出荷台数 6820万台(前年比5%減)
連続成長記録 9四半期で途切れる
DRAM価格見通し(TrendForce) 年内50%超の値上がり
メモリ不足の緩和時期(IDC予測) 2028年初頭以降

中小ベンダーは供給網の交渉力で劣るため淘汰リスクが高まっているとIDCは警告しており、Apple・Dell・HPなどの大手ベンダーが規模を活かしてメモリ供給を確保し、シェアを広げる展開も予想されています。

Samsungのメモリ事業が「40年分の利益」を1年で稼ぐ勢い

こうした価格高騰の恩恵を最も大きく受けているのがSamsungです。同社は2026年第2四半期の業績見通しとして、売上高170兆〜172兆ウォン(約1119億ドル)、営業利益89.3兆〜89.5兆ウォン(約584億ドル)を発表しました。これは前年同期の営業利益(46.8兆ウォン、約31億ドル)の19倍に相当します(出典)。

Samsungのメモリ事業は、単年でこれまでの40年分の累積利益を上回る見通しだという。

Samsungは第1四半期決算で「メモリ市場における技術的優位性と平均販売価格の上昇」を好調の理由として挙げていましたが、この状況は第2四半期も変わっていません。これはかなり衝撃的な数字で、AI需要がメモリ市場全体をここまで塗り替えているのかと、正直驚かされます。

しわ寄せは低価格帯スマートフォン市場にも

メモリ高騰の影響はPC市場だけにとどまりません。Tom's Hardwareの報道によれば、低価格帯スマートフォン市場では販売台数が22%減少する見通しで、メモリコストが端末価格全体の最大64%を占めるまでになっているといいます(出典)。

自作PCでメモリやSSDの価格を定期的にチェックしている身としては、この数字はかなり実感が湧きます。次のパーツ購入のタイミングを見極める上でも、しばらくは値上がり基調が続くという前提で計画を立てておいた方が良さそうです。