「中央銀行の中央銀行」が鳴らした警鐘

国際決済銀行(BIS)は6月末に公表した報告書で、AIバブルが崩壊寸前まで来ている可能性を指摘しました。The Registerのポッドキャスト「The Kettle」で同社の記者らが解説しているように、BISは各国中央銀行の政策協調を担う組織で、市場の一民間アナリストとは重みが異なります。

BISの報告書は、19世紀の英国鉄道バブルや運河投資バブル、2000年前後のドットコムバブルといった過去の金融マニアを引き合いに出しています。共通するのは「実際の産業が生み出せる以上の資本が流入した」という構図で、AIブームも同様の懸念があると分析しています。

Oracle株が1か月で40%超下落—カナリアの役割

AIバブルへの露出が最も大きいハイパースケーラーとされるOracleの株価は、過去1か月で40%以上値下がりした。

Oracleはこの状況を受け、AI投資が期待通りに進まなかった場合の影響についても自ら説明を行っているとされ、市場の不安を象徴する存在として扱われています。

投資額の規模も議論の的です。番組内では、AmazonがAI関連設備投資に2000億ドル超、Microsoftも1900億ドル規模を今年計画しているとの数字が挙げられました。こうした巨額投資が半導体やメモリの調達競争を激化させ、一般消費者向けPCの価格にも影響を及ぼしている状況が語られています。

巨大投資が招く「品不足」の連鎖

記者陣の議論では、ハイパースケーラー各社の設備投資競争が、次のような連鎖を生んでいると指摘されています。

  • データセンター向け機材の需要増加により、RAMなど部品の調達コストが上昇する
  • 供給が逼迫し、一般消費者がPCを購入しづらくなる
  • 投資額に見合う収益が上がらなければ、投じた資本の回収が困難になる

BISが懸念するのはまさにこの最後の点で、過去のバブル同様に「期待先行の投資」が実需を上回った場合、巻き戻しの影響が金融システム全体に及ぶ可能性があるとしています。

半導体やメモリの価格動向を普段からチェックしている身としては、この巨額投資合戦の余波が自作PCパーツの値上がりという形で日常に響いてきているのを実感します。バブルという言葉が独り歩きしがちですが、BISのような機関が公式に言及した以上、単なる杞憂として片付けられない段階に来ているのではないでしょうか。