毎回リセットされる Claude Code、その課題を解決

Claude Code を使う開発者の方なら、この経験に心当たりがあるはずです。セッションを終えて翌日に再開すると、プロジェクトの進行状況を一から説明し直さなければならない、という厳しい現実です。

Claude Code は毎回のセッションが「白紙」からスタートするため、前回の文脈や進捗が引き継がれません。

これはツールの仕様上は合理的ですが、開発効率という観点からは大きなロス。毎回「どこまで進んだのか」「次は何をするのか」を言い直すだけで、貴重なトークン予算が消費されます。

Recall はこの問題に直面したエンジニアたちが、シンプルな解決策を作りました。(出典)

仕組みはシンプル—ローカルログと古典的要約

Recall の動作は驚くほどシンプルです。Claude Code のセッションフックを使い、次の 2 つのファイルをプロジェクト内の .recall/ ディレクトリに保存します。

  • history.md:セッション中のすべての活動を記録するアペンドオンリーのログ。プロンプト、Claude の返答、操作したファイル、実行したコマンドが全て残ります
  • context.md:ローカルの古典的要約ツール(Python ベース)で自動生成される圧縮版サマリー。目標、現在地、次のステップ、次回の再開地点が記載されます

ポイントは、ここに LLM を使わない という点です。多くの「メモリツール」はコンテキストを外部 API に送信して要約を得ていますが、Recall は統計的なテキスト処理で完結します。

項目 CLAUDE.md --continue/--resume Recall
保持内容 手書きの指示とルール 全セッション記録 自動記録+圧縮版サマリー
更新作業 手動 なし なし(自動)
再開時のトークンコスト 小 大(全文再読み込み) 約 1~2K トークン
形式 Markdown(編集可能) ローカルセッション状態 プレインテキスト(diffable)
プライバシー — — マシン外に一切送信されない

なぜ「無料」なのか—トークン節約と隠れたコスト削減

Recall が強調する「完全無料」というの謳い文句は、実務的な意味で非常に重要です。

ローカル要約だから API 呼び出しゼロ。サブスクリプション内で完全に完結します。

コスト削減は二重構造になっています。

  1. 要約生成がトークンを消費しない:圧縮版 context.md はローカルの古典的アルゴリズムで作られるため、OpenAI API や他のモデル呼び出しが発生しません
  2. セッション再開が軽量:次のセッションで約 1~2K トークンの要約ファイルをロードするだけで、プロジェクト全体を語り直す必要がなくなります。従来の --continue/--resume で全セッション記録を再読み込みするのと比べ、トークン消費は圧倒的に少なくて済みます

API 従量課金を使う開発者の方なら、この効果は実感できるはずです。1 ヶ月のセッション数が多いほど、コスト削減の恩恵は大きくなります。

プライバシー保証—マシンの外に何も出ない

もう一つの重要な特徴がプライバシーです。

あなたのコード、ファイルパス、時には認証情報まで含まれるセッション記録が、外部に一切送信されません。

多くのクラウドベースのメモリツールは、コンテキストをエンドポイントに送信して AI による要約を得る仕組みです。開発中のコードやプロジェクト構成が外部に流出する可能性があります。特に企業内システムや機密プロジェクトに携わる開発者の方にとって、これは大きな安心材料になります。

既存機能との使い分け—補完関係で効率化

Claude Code には既に複数のメモリ・コンテキスト管理機能があります。Recall はこれらと競合するのではなく、補完する設計になっています。

CLAUDE.md(#ショートカット):手書きのルール。「君はこういうスタイルで動作してほしい」という指示を保管

--continue / --resume:前回のセッション全体を再生。完全な文脈を得られる代わり、トークンコストが重い

セッション内コンテキスト圧縮:一つのセッション内での冗長性を削減するもの

Recall は、 「前のセッションで何をしたのか」という履歴と現在地の記録に特化しています。手動管理なしに、毎セッション後に自動で更新される読み取り専用のリファレンスとして機能する点が独自です。

セットアップはほぼ ゼロ

プラグイン導入の手間が少ないのも実用的なポイントです。

  • pip install 不要
  • ローカルモデル起動不要
  • API キー設定不要
  • オフライン完全対応

プラグインが読み込まれた時点で即座に動作開始。開発環境を複雑化させないという配慮が感じられます。

セッション開始時には、保存された context.md が表示され、「前回の内容から再開するか」「このセッションもロギングを続けるか」を確認するプロンプトが出現します。終了時に /recall:save コマンドを実行すれば、その場で context.md が再生成される仕組みです。

自動保存設定(auto_save_context: "on_end")を有効にすれば、手動実行すら不要になります。